本日は表現者工房プレゼンツ『あじわうとき』にご来場いただき、誠にありがとうございます。
最下部にアンケートがございますのでご協力をお願いいたします。
ご挨拶
表現者工房 代表 池田直隆
表現書工房は2016年から始まり、その柿落としとして、この「あじわうとき」が初演され、その時は、劇団桟敷童子の大手忍さんが、ミツ子を演じました。そして、2回目が2018年に柿喰う客の七味まゆ味さんがその役を演じました。
そして、今回は、木下菜穂子さん。最もこの表現者工房の作品に多く出演してくれた俳優の一人です。今回は大阪での稽古でした。
そして、今回の上演を多分一番楽しみにしていたのが、私の母です。母は菜穂子さんに、毎週「朗読」をしてもらってました。「誰か読むのが上手な俳優さんを紹介して」と頼まれて、そしたら彼女が良いのではと思い、三年くらい前からお願いしてました。そして、毎週水曜日にいろんな読み物の朗読をしてくれていました。母は、いつもお弁当を買ってきて、朗読のあと、一緒に菜穂子さんと食事する習慣にしてました。バレエやお芝居にも誘っていたそうです。最後に観たのが、こまつ座の『頭痛、肩こり、樋口一葉』。ついこないだの公演でした。
そして、9月20日に他界。それは「朗読」水曜日でした。稽古が始まっていたので、前日は体調が悪く、休ませてほしいと菜穂子さんがLINEで連絡した夜、天に召されました。
享年84歳。
矢内さんも、菜穂子さんも通夜と葬儀に来てくれました。稽古もある中、時間を割いて来てくれました。
母は昭和14年生まれ。ミツ子よりも2歳若いです。満州で産まれて、5歳で、祖母に連れられ、2歳の叔母と共に、命からがら、日本に帰って来たそうです。繊維業界で、ずっと繊維不況の中を歩み、バブルの少し前からやっと持ち直したようです。
バブルの頃は投資もして、父の仕事と両面で儲けてましたが、バブル崩壊と共に損もしてました。
その借金も最近なんとか全部返して、孫も成人して行き、ひ孫も3人になって、これから人生の「あじわうとき」に入って来ていたのに、大変残念です。
この公演も、「菜穂子さんが出るから2回観る!バブルの頃の話でしょ!」と意気込んでいました。元気だっただけに悔やまれます。
製作者としては、私事を交えた挨拶にしてはいけないと思いましたが、菜穂子さんと母との思い出になるべき公演を、天から観ている観客もいることを、皆様にお伝えしようと考えました。
本日は最後まで、ごゆっくりご観劇ください。
ご挨拶に代えて。 アトリエ・センターフォワード 矢内文章
私たちは歴史に学んでいるのでしょうか?
今、こうしている間にも戦火に怯える人々がいます。
また、「先進国」であるはずのこの国には貧困で満足に食事のできない子供のための「食堂」が6000か所あり、フルタイムで働いてもその日暮らしで精いっぱいの人たちが大勢います。
昭和20年に焼け野原となったこの国は、隣国の戦争と大国の我がままに乗じて高度経済成長を遂げ、右肩上がりに成長していくものだと信じてバブル経済を破裂させました。
お金は大事です。生活に欠かせません。ですが、お金に物やサービスを交換する手段以上の力を持たせてしまったとき、何かが歪んでしまうのではないかと思っています。
「そこまでして儲けて、何がしたいのですか?」という劇中の問いと、
「いつの間にか買い続けるしかなくなっていた」という教訓が、現代の社会に生きる私に刺さります。
ご観劇ありがとうございます。
この物語を存分に消費していただき、少しでも皆様の血と肉になれましたら幸いです。
お金ではなく、愛でつながる社会を願ってユーモアとともにお届けいたします。
木下菜穂子
4年前に七味まゆ味さんと矢内さんの今作品を初めて観た。熱く激しい中にポップな要素が散りばめられていて、とても楽しく拝見した。まさか4年後に自分が演じさせて貰うことになるとは微塵も思わず、ただただ「すごぉーい!!」と観ていたあの頃の私に言ってやりたい。「あんた呑気に感心してる場合じゃないで」と。
この稽古中に、わたしにとってとても大切な人がお亡くなりになった。その前日までLINEでやり取りしていたはずの人が。
突然の死と直面して困惑の中、ずっと考えていた。
生きるって、人生ってなんなのか…。
ノートの聞こえ方も随分と変わった。
『あじわうとき』は、正に人生の最期を迎えた独りの老人が、自身の人生を振り返りながらそれを味わう物語だ。私ごときに、ミツ子さんの人生を実感を持って「あじわう」ことが出来るのだろうか。様々な背景がある状況下で、ともかく必死にもがきながらも生きてきた彼女に、どこまで追い付き、毎回毎回生命を燃やし尽くすことができるのか。この闘い、負ける訳にはいかない。
天国にいるあなた方に失礼のないよう、祈りを捧げながら私にできる精一杯で舞台に立ちます。
本日は大変なところをご来場くださいまして、誠にありがとうございます!!
作・演出
矢内文章(アトリエ・センターフォワード)
出演者
矢内文章(アトリエ・センターフォワード)
木下菜穂子
スタッフ
照明 阪上英里子
音響 北あかね
舞台美術 矢内文章(アトリエ・センターフォワード)
舞台サポート 井田紋乃
撮影 水野太朗
宣伝美術 tarinainanika
衣装協力 上島洋子
当日受付 真銅美織
制作 表現者工房スタッフ
製作 池田直隆 一般社団法人表現者工房
協力 『喫茶白樺』小西様ご夫妻
文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業
出演者・スタッフからのお知らせ
矢内文章
アトリエ・センターフォワード第18回公演『三人姉妹』 作 アントン・チェーホフ 上演台本・演出:矢内文章 12月7日(水)~11日(日) 東京・両国シアターカイ 詳細とご予約はアトリエ・センターフォワードHP |
木下菜穂子
【出演】
ニットキャップシアター 新作公演 |
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【出演】
兵庫県立ピッコロ劇団第75回公演 台本・演出 松本 修(MODE) |
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【その他】
シネマプランナーズ公式 映像演技クラス(初級・中級) |
北あかね
【出演】
宇佐美みおpresents. |
井田紋乃
【出演】
アイホール「伊丹の物語」プロジェクト
リーディング公演
『ビューティフル・サンデー』
2022年12月24日(土)・25日(日)
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表現者工房 活動情報
表現者工房ホームページ |
アッセンブルド登録者限定イベント食と表現vol.3 『La Rosanera有藤寛海シェフ』 2022年10月30日(日)17:00 開始肥後橋セミナールーム https://iksalon-hyogensha.com/lp/shoku20221030/ |
表現者工房×tarinainanika |
⭐︎「配信者工房」リニューアルバージョン配信開始⭐︎
「配信者工房」の編集方法を見直し、これまでより見やすい動画に仕上がっています。
ぜひご覧ください。
ご来場の皆様へ
今公演での新型コロナウイルス対策
①公演ごとに客席や手を触れる箇所の消毒を行なっております。
②開演前、休憩中、終演後は扉を開け放っての換気を行います。
また、上演中も換気扇を稼働しています。
③入退場時に、検温及び手指の消毒をお願いしております。
気になる方は再度ご使用ください。
④場内では必ずマスクをおつけいただき、外されることのないようにお願いいたします。
場内でのお知り合いとの会話も感染症対策のためお控えください。
⑤喫煙場所を設けておりません。喫煙はご遠慮ください。
⑥終演後の出演者の面会・お見送りはございません。ご了承ください。
⑦受付にてフェイスシールドの販売を行なっています。ご入用の方はお声掛けください。
鑑賞にあたっての注意事項
①携帯電話は音や光が出ない設定にしていただき、上演中の操作はお控えください。
②開場中・休憩中はペットボトル・水筒など蓋付きの飲み物に限り水分補給が可能です。パフォーマンス中はお控えください。
③お手洗いは2階にあります。なるべく他の方との接触を避けて開演前にお済ませください。
④公演中の撮影・録音はご遠慮ください。
物販について
表現者工房公式store(https://iksalonhyogensha.stores.jp/)で
表現者工房関係グッズや公演映像の販売を行っておりますのでご確認ください。
公演アンケート