※このレポートは2019年に作成されたものです
どうも、有北雅彦です! かのうとおっさんというコメディーユニットをやったり、作家や翻訳家として活動したりしています。
その日の夕方、ぼくは家で出かける支度をしていました。肥後橋セミナールームで行われるマナー講座「ビジネスマナー基本編~いまさら聞けないマナーの基本~」に参加するためです。
時刻は18時20分。そろそろ荷物をまとめて、家を出れば、19時からの講座には余裕で間に合う時間です。念のため、場所をもう一度確認しようと告知チラシを見ました。すると……
そんなアホな……!!!
そこには「18:30~20:30」の文字が……!!
とるものもとりあえず家を飛び出し、光の速さで、なんとか15分遅れで駆けつけることに成功しました。
そんな社会人能力完全にゼロのぼくをやさしく出迎えてくれたのは、桐生紗衣(きりゅう・さえ)先生です。
“日本航空で国際線客室乗務員として27年間乗務。教官として新人教育にも携わる。
日本航空を退社後、ソーシャルマナー1級の資格を取得し、
企業研修や専門学校などでビジネスマナー、ソーシャルマナーの講師を務める。
マナーとは思いやりの心、言葉や行動に心を添える大切さを伝えたいとセミナーを開催している。”
さあ、完全にマイナスからのスタートですが、過去はキッパリ忘れてやっていきましょう!!
全3回の講座で、今回、ぼくが体験したのは敬語を学ぶ講座。尊敬語、謙譲語、丁寧語とか、学校で習った覚えがありますよね。前回(バレエ講座)は筋肉痛バリバリの内容でしたが、今回は完全に座学。プリントに書かれた練習問題を、例文にしたがって解答していきます。物書きのはしくれとしては、プライドにかけて正解したいところ!
意気込むぼくに、先生がウォーミングアップとばかりに質問を投げかけます。
「『すぐ』を丁寧に言うと何ですか?」
……?
「すぐ」を丁寧に、だと……!?
いきなりの難問に、焦って言葉が詰まるぼく。とっさにぼくの頭に浮かんだのは「おすぐ」という謎の言葉でしたが、そんな日本語があるわけないことは当のぼく自身がいちばんよく知っています。同時に有名双子タレントの顔も頭に浮かびます。
混乱するぼくに先生はやさしく
「正解は『さっそく』です」
と教えてくれます! ああ~! たしかに!
答えを聞けばナルホドですが、いやこれ、意外ととっさに出てこないもんですよ? ほかにも難しい問題が相次いで登場し、ぼくを悩ませます。というのも「ビジネスマナー講座」だけあって、オフィスでの丁寧な言葉遣いみたいな例文と問題が並ぶわけです。ふだん使い慣れていないだけに、これは難しいぞ!
以下は、じっさいのテキストにあった、オフィスでの言葉遣いとして適切でないものを正しい表現に直しなさい、という問題です。みなさんもちょっと考えてみてください。第1問はこちら!
問1)お客様の言うことに相づちを打ちながら「そうですか」
……いかがですか? たしかに「そうですか」は丁寧な言葉遣いではなさそうですが、だからと言ってなんと言えばいいのか……
正解は「さようでございますか」です!!
言われてみたら納得ですが、とっさに出てこないですよね~。ちなみにぼくの解答は「さすがでございますね」でした。なんとなくニュアンスは似てますけど、ダメですか、先生?
「ちょっと違いますね」
ですよね! 続いて第2問はこちら!
問2)お客様にわからないことを質問されて「わからないです」
……さあ、いかがでしょうか?
正解は「申し訳ございませんが、存じかねます」です!!
ちなみにぼくの解答は「大変愚かで申し訳ございません」でした。先生、これもなんとなくニュアンスは似てま
「ちょっと違いますね」
食い気味で訂正する先生。ですよね!
このように、言葉遣いをじっくり丁寧に教えていただいた後は、元CAとしての経験から身につけた、電話応対の話し方講座も。電話は実際よりも低い声で相手に伝わるため、普段よりも高めの声でしゃべるように心がけること。そのためにまずは表情を明るくすると声も明るくなるし、
「恋人と話すときなんかはバックにステキな音楽をかけて電話するといいですね」
と、恋愛テクニックまで教えてくれます! 至れり尽くせり!
なんて感じで和気あいあいと学んでいると、あっという間に時間が過ぎてしまいました。ぼくが言葉について学ぶのが好き、というのもありますが、「ここから入れ」を丁寧にすると「恐れ入りますが、こちらからお入りいただけますでしょうか」とか、だんだん面白くなってくるんですよね。
接客業に就いている方はもちろん、何かしら人と関わる仕事をされてる方には十分役に立つ講座だと思います。コミュニケーションの基本はもちろん「心」ですが、それを過不足なく相手に伝えるには「言葉」と「マナー」が必要不可欠! 今回も大事なことを教わりました。桐生先生、ありがとうございました!
ではまた、次の講座で!
書いた人:
有北雅彦
作家・演出家・翻訳家・俳優。大阪外国語大学(現・大阪大学)でイタリア語を学びつつ、コメディーユニット「かのうとおっさん」を結成。独特の世界観に満ちた舞台作品は、関西を中心に多くの中毒者を持つ。「国際コメディー演劇フェスティバル」コント部門A最優秀賞受賞(2013年)。翻訳会社「京都ドーナッツクラブ」のメンバーとしても活動。著書に『あなたは何で食べてますか?』、訳書に『13歳までにやっておくべき50の冒険』など(すべて太郎次郎社エディタス)。